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【買い手】M&A手数料を知る|プラットフォーム利用料・成功報酬まで完全整理

更新日:5月29日

「M&Aに必要な手数料がよくわからない!」

「成約までにかかる手数料や費用をパターン別にまとめてほしい!」


着手金、中間報酬、成功報酬、プラットフォーム手数料、デューデリジェンス費用、レーマン方式……のようにM&Aに必要な手数料に関する用語は複雑で、どの場合にどの手数料が必要なのかわかりにくい側面があります。


しかし、一度体系的に整理してしまえば手数料の話を簡単に腹落ちさせることができます


本記事では、次の順番で、個人の買い手の立場でM&Aに必要な手数料を整理していきます。

  • 細かな手数料を理解する前提として、M&Aのパターンを整理

  • 個人の買い手として利用するプラットフォームの手数料を整理

  • 個人の買い手としてM&Aアドバイザーに払う手数料を整理

  • 個人の買い手として負担する場合がある他の費用を整理

この4つの観点から整理すると、M&Aの手数料の全体像が理解できます。そして、プラットフォームを利用して実名交渉を始めたタイミングで、個々のディールにおいて発生するだろう手数料をイメージできるようになります


図も用いてわかりやすく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。



買い手の立場からM&Aのパターンを整理

買い手の立場からM&Aのパターンを整理

手数料の細目を解説する前に、そもそも買い手として関わるM&Aにどのようなパターンがあるのか確認します。個々のM&Aにどのような登場人物がいるかで、必要となる手数料が変わるためです。


この部分を理解できると、「このM&Aには、◯◯◯と◯◯◯が登場するため、必要な費用は◯◯◯だ」と整理できます。


この点について、結論から述べると、個人の買い手として関わるM&Aのパターンは次の3つです。次の図には、それぞれのパターンで必要な手数料も吹き出しで記載しています。

個人買い手として関わるM&Aの3つのパターン

個人買い手の多くはM&Aプラットフォームを利用して案件を探すため、本記事ではプラットフォームを利用する前提でパターンを整理しています。以下では、それぞれのポイントを解説します。


パターン①:プラットフォームを利用して売り手と直接交渉

パターン①は、買い手がプラットフォームを利用して売り手と直接交渉するものであり、登場人物がシンプルです。


アドバイザーが登場しないため、買い手の立場で必要なM&A手数料は「プラットフォーム手数料」のみです。主要プラットフォームの手数料は後述します


パターン②:プラットフォームを利用してアドバイザー(売り手FA)と交渉

パターン②は「アドバイザー(売り手FA)」が登場します。パターン③にもつながる内容なので、ここで簡単に「アドバイザー(売り手FA)」と「アドバイザー(仲介)」の違いも紹介します。次の表をご覧ください。

売り手FAと仲介の違い

このように「アドバイザー(売り手FA)」と「アドバイザー(仲介)」は、手数料を得る相手、交渉にどのような立場で参加するかが異なります


パターン②で登場するのは「アドバイザー(売り手FA)」であり、彼らは売り手の立場で交渉に参加し、売り手のみから手数料を得ます。買い手とは契約を締結しません。そのため、パターン②において、買い手の立場で必要な手数料はプラットフォーム手数料のみとなります。


パターン③:プラットフォームを利用してアドバイザー(仲介)と交渉

パターン③は「アドバイザー(仲介)」が登場します。「アドバイザー(仲介)」は、すでに売り手と契約した状態で登場するため、売り手側のアドバイザーのようにも見えますが、買い手ともアドバイザリー契約を締結し、最終的には中立的な立場で交渉に参加します。


そして、買い手と締結したアドバイザリー契約の内容に従って、買い手からも手数料を得ます。そのため、パターン③において、買い手の立場で必要な手数料は、プラットフォーム手数料およびアドバイザリー手数料となります。


以上が、買い手として関わるM&Aの3パターンの整理です。確認してきた通り、買い手として必要になる手数料は次の2つのパターンに分けられます。

  • プラットフォーム手数料

  • プラットフォーム手数料+アドバイザー手数料

この先の項目では、それぞれの手数料について詳細を確認していきます。


プラットフォーム手数料

プラットフォーム手数料

個人の買い手としてプラットフォームを利用して案件を探す場合、プラットフォーム手数料が発生します。プラットフォーム手数料について、いつ、どのような金額が必要になるか確認していきましょう。


多くの買い手が利用する主要なプラットフォームとして「BATONZK(バトンズ)」「TRANBI(トランビ)」の2つの手数料をまとめました


BATONZの手数料

BATONZでは、成約時に手数料が発生します。買い手の手数料は次の通りです。

BATONZ(バトンズ)の手数料

BATONZでは成約価額の2%の手数料が発生します。株式100%を2000万円で譲り受けた場合は、40万円(2000万円×2%)です。特定の事業を3000万円で譲り受けた場合は、60万円(3000万円×2%)です。


ただし、最低手数料が定められている点には注意してください。成約価額の2%で計算した手数料が25万円を下回る場合は、最低手数料の定めが適用されて手数料が25万円になります。


株式100%を500万円で譲り受けた場合、500万円×2%は10万円ですが、最低手数料の定めがあるため25万円を支払う形になります。


TRANBIの手数料

TRANBIは、成約時に手数料が発生しませんが、月額手数料が必要になります。買い手の手数料は次の通り、交渉可能な売却案件希望価格に応じて3つが用意されています。

TRANBI(トランビ)の手数料

繰り返しになりますが、TRANBIでは成約時に手数料が発生しません。そのため、交渉する案件の規模に応じてプランを選ぶ形になります。


注意点としては、契約期間は6カ月であり途中解約はできません。アップグレードはいつでも可能で、ダウングレードは契約更新月にのみ可能です。


戦略を立てて行動を徹底すると個人M&Aは4カ月〜6カ月で成約を目指せます。そのため、TRANBIの手数料としては各プラン6カ月分の2万3800円〜11万8800円がかかると想定しておくと良いでしょう。もちろん成約までに6カ月以上かかってしまった場合は、必要な手数料も増加します。


アドバイザー手数料

アドバイザー手数料

ここからは、M&Aにアドバイザーが登場する場合のアドバイザー手数料として、次の4つを解説します。

  • 着手金

  • 月額報酬

  • 中間報酬

  • 成功報酬

はじめに、4つの手数料がM&Aプロセスのどのタイミングで発生するのかをまとめました。それぞれの手数料がどのタイミングで発生するかはアドバイザーと締結する契約により若干の幅がありますが、大まかなイメージとして次の図を参考にしてください。

M&Aプロセスとアドバイザー手数料

また、契約するアドバイザーによって必要となる手数料は異なります。「中間報酬と成功報酬が必要」な場合もあれば、「月額報酬と成功報酬が必要」な場合もあります。必要な手数料は、契約を締結する前にアドバイザーに正確に確認しましょう。


それでは、以下では4つの手数料を詳しく解説していきます。


着手金

着手金は、アドバイザーと契約を締結する際に発生する手数料です。金額はアドバイザーにより異なりますが、50万円〜300万円程度が相場です。着手金を無料としているアドバイザーも多いです。


着手金は、資料作成をはじめとしたM&Aの初期的な工程にかかる人件費の位置付けです。そのため、M&Aが成約しなかった場合でも返金されません


月額報酬

月額報酬は、その名の通り、アドバイザーが活動するために月ごとに支払う報酬です。金額はアドバイザーにより異なりますが、数万円〜100万円程度が相場です。月額報酬を無料としているアドバイザーも多いです。


月額報酬は、アドバイザリー業務に必要な人件費等の位置付けです。そのため、着手金と同様にM&Aが成約しなかった場合でも返金されません


中間報酬

中間報酬は、買い手として提出する意向表明書が売り手に受け入れられた時点、もしくは基本合意書を締結した時点でアドバイザーに対して支払う手数料です。金額はアドバイザーにより異なりますが、成功報酬の10〜20%、もしくは固定金額として30万円〜200万円程度が相場です。例えば、中間報酬が発生する時点で想定されている成功報酬が1000万円の場合、中間報酬は100万円〜200万円程度になる場合が多いです。中間報酬を無料としているアドバイザーもいます。


中間報酬はアドバイザーのリスクヘッジのために設けられている場合が多いです。つまり、意向表明もしくは基本合意の後の工程のデューデリジェンスなどでM&Aが成約しなかった場合であっても、そこに至るまで成約を目指して注力したアドバイザリー業務の取り分を確保しようという考えです。そのため、M&Aが成約しなかった場合でも返金されません


成功報酬

成功報酬は、M&Aが成約した時点で発生する手数料です。成約のタイミングは、アドバイザーとの契約によりますが、次の2つのパターンになることが多いです。

  • 最終契約(株式譲渡契約や事業譲渡契約等)を締結した時点

  • 買い手から売り手に対して譲渡対価が支払われ、会社や事業の所有権が買い手に移った時点

成功報酬の金額はレーマン方式を用いた計算により算出される場合が多いです。レーマン方式の詳細は後述します。成功報酬はアドバイザーに対して支払う手数料の大部分を占め、大きな金額になる場合が多いです。そのためレーマン方式を正確に理解し、売り手との交渉を始める時点で成功報酬を大まかにイメージしておきましょう。


レーマン方式

レーマン方式は、M&Aの取引額が大きくなればなるほど手数料の割合が下がる仕組みです。レーマン方式では、以下の手数料率を用いて成功報酬を計算します。

※基準額

手数料率

5億円以下の部分

5%

5億円超 10億円以下の部分

4%

​10億円超 50億円以下の部分

3%

50億円超 100億円以下の部分

2%

100億円超の部分

1%

例えば、レーマン方式で用いる基準額が25億円のM&Aが成約した場合、成功報酬は次の計算により9000万円となります。

成功報酬=(5億円×5%)+(5億円×4%)+(15億円×3%)=9000万円

レーマン方式を正確に理解するために重要なのが、上記の表において「※」をつけた基準額です。レーマン方式による計算で使用する基準額はアドバイザーにより異なります。基準額には、次の2つのどちらかが用いられる場合が多いです。

  • 株式や事業の譲渡金額

  • 移動総資産(株式や事業の譲渡金額+譲渡の対象となる会社/事業の貸借対照表における負債の部の合計額)

基準額として、株式や事業の譲渡金額を用いる場合はシンプルです。M&Aにおいて、買い手が株式の100%を5億円で買うのであれば、基準額は5億円となります。そのため、成功報酬は2500万円です。


一方で、基準額として、移動総資産を用いる場合は注意が必要です。買い手が株式の100%を5億円で買う場合であっても、基準額は5億円になりません。この株式譲渡金額5億円に、M&Aの対象となる会社の貸借対照表の負債の部の合計額を加算して基準額を算出する必要があります。


負債の部には、買掛金、未払金、短期借入金、長期借入金などが計上されています。例えば、負債の部の合計額が5億円の会社の株式100%を5億円で買う場合、基準額は10億円になります。そのため、成功報酬は4500万円です。


このようにレーマン方式を正確に理解するためには、計算方法のみならず、基準額として用いられる金額を正確に把握する必要があります。アドバイザーと契約を締結する際は、基準額として用いられる金額も含めて事前にしっかりと確認しましょう。


買い手が負担する場合がある他の費用

買い手が負担する場合がある他の費用

ここまでの内容で、買い手として関わるM&Aの3つのパターン、プラットフォーム手数料とアドバイザー手数料について解説しました。手数料の細かな点はプラットフォームやアドバイザーによって異なるものの、買い手の立場でM&Aに必要な手数料の全体像がイメージできたかと思います。


本記事の最後に、これまでに確認したもの以外で、買い手として負担する場合がある費用を紹介します。


両者面談の会場利用料

買い手としてM&Aを進めていくと、売り手と初めて対面するタイミングが訪れます。このような対面での面談を両者面談と呼びますが、この際の会場利用料は買い手と売り手で折半になります。


個人M&Aにおける両者面談はカフェなどを利用して簡易的に行うケースも多いですが、ときにはホテルの会議室を借りて両者面談を行うこともあります。これらの場合には、双方が会場利用料として数万円程度を負担するのが基本です。


デューデリジェンス費用

デューデリジェンスは、意向表明もしくは基本合意の後の工程で、M&Aの対象となる会社/事業のリスクを把握するために行います。このデューデリジェンスの費用は買い手の負担です。なぜならば、買い手として自らの費用で対象会社/対象事業のリスクを確認することに意味があるためです。


仮に、デューデリジェンスの費用を売り手が負担した場合、デューデリジェンスを担当する専門家は売り手に有利な結果を導く恐れがあります。これでは、買い手の目線で対象会社/対象事業のリスクを把握するという目的を達成できません。そのため、デューデリジェンス費用は買い手が負担するのです。


法人同士のM&Aの場合、デューデリジェンス費用は数百万円〜数千万円になります。一見すると高額すぎるようにも思えますが、そもそも法人同士のM&Aの場合は取引金額が数億円〜数百億円です。数百万円〜数千万円で対象会社/対象事業のリスクを把握でき、ハイリスクなM&Aを避けられると考えるとデューデリジェンス費用は決して高くありません。


一方で、個人M&Aの場合は対象会社/対象事業の規模も小さい場合が多いため、デューデリジェンスに数百万円〜数千万円をかけるのは現実的ではありません。個人の買い手としてM&Aを行う場合は、数十万円でデューデリジェンスを実施することが多いです。


プラットフォーム手数料の項目でも紹介した「BATONZ」は、39万8000円(税抜)で中小企業に特化したデューデリジェンスサービス「バトンズDD」を提供しています(※1)


本メディア「個人M&A買い手Labo」を運営する株式会社ShylphもバトンズDDに対応できる調査人の認定を受けています。個人M&Aにおけるデューデリジェンスの疑問はぜひお問い合わせください。



まとめ

本記事では、個人の買い手の立場でM&Aに必要な手数料を整理しました。個々のM&Aにおける手数料を把握するポイントは次の通りです。

  • プラットフォームを利用して案件を見つけた場合、プラットフォーム手数料を支払う必要がある

  • M&Aにアドバイザーが登場する場合、売り手FAなのか仲介なのかを確認

  • 仲介の場合は、買い手もアドバイザー手数料を支払う必要がある

  • プラットフォーム手数料とアドバイザー手数料の詳細は、事前に確認しよう

  • 他にも、買い手として両者面談の会場利用料・デューデリジェンス費用を負担する場合がある

M&Aには、本記事で紹介したさまざまな手数料が発生します。そして、手数料は会社や事業を取得する価格と共に買い手が支払うコストになります。後から「この手数料は聞いていなかった」とならないように、プラットフォーム手数料およびアドバイザー手数料について、事前にしっかりと確認していきましょう


特にアドバイザー手数料は項目も多く、それぞれの金額や発生するタイミングが微妙に異なる場合があります。アドバイザーに対して「本件取引にかかる手数料を全て教えてほしい」と連絡して全く問題ないため、取引や交渉を進める前に正確に把握できるように努めましょう。


「個人M&Aなら、M&Acompass」

M&Acompassは、個人M&Aの買い手に対する伴走支援です。これまでM&Aの専門家のサポートが十分に届いていなかった個人の買い手向けの伴走支援であり、個人M&Aの成約を目指すためのM&A戦略立案・案件探しといった初期的な工程からクロージングまでを支援するサービスです。


「M&Acompass」では、毎週さまざまなテーマでセミナーを開催しています。


また、伴走支援の一部を体験していただく趣旨で、オンライン無料体験会も開催しています。個人M&Aに関する疑問や課題に対して、現役のM&Aコンサルタントが提案・アドバイスさせていただきます。オンライン無料体験会もお気軽にご活用ください!


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