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人生100年時代|60歳で個人M&Aに挑戦し、複数の買い手の中から売り手に選ばれて成約

専門商社やIT会社で企画業務や営業業務に長く携わってきた中西さんは「人生100年時代、自ら会社を立ち上げて挑戦してみよう」と考え、個人M&Aに臨みました。そして、150社以上の匿名情報を検討し、対象会社と接点を持ってから約5カ月で成約を実現しました。


「M&Aを行ってみて、自分が理想とする会社は存在しないとわかった。重要なのは、案件として存在する会社を取得し、それを理想に近づけること」と語る中西さんは、リスクの低い会社を厳選し、売り手さんのタイムラインに合わせた交渉で成約を勝ち取っています。


今回の記事では、中西さんの成約を時系列に沿って紹介します。M&Aプラットフォームに存在するさまざまな案件の中から、自分に合った会社を見つけるポイントなどを参考にしてみてください。



【目次】



専門商社やIT会社で企画・営業の経験|60歳を迎えて「自分でビジネスを経営したい」と考え、個人M&Aに挑戦

個人M&Aに挑戦

―はじめに、ご経歴について教えてください。


中西さん

私は、繊維製品を取り扱う専門商社やIT会社で販売業務、企画業務、営業業務に携わってきました。その過程で、売上ゼロの状態から国際売上高500億円への成長、事業計画の策定や政府機関との交渉、サービス開始後の市場開拓をはじめとするさまざまな業務を経験しました。


そうしたなかで60歳を迎えるにあたり「このまま会社勤めを続けるべきか。自ら会社を立ち上げるべきか」について悩むようになりました。そのときに「これからは人生100年時代、自分の時間はまだ40年ある」と考え、経営者の道を志すことを決めました。趣味のマラソンで考えると、ビジネスパーソンとしてのキャリアは、まだ折り返し地点を過ぎたところだという思いもあったと記憶しています。


―そうした中でM&Aに関心を持ったのはどのようなタイミングでしたか?


中西さん

経営者を志すと決めて、さまざまな勉強会やセミナーに参加し、キャリアコンサルタントの支援も受けました。そのなかでM&Aについて知り、BATONZが開催しているセミナーに参加するようになりました。話を聞くうちに、M&Aという選択肢に魅力を感じるようになりました。それは、ゼロから起業するとビジネスが軌道に乗るまでに時間がかかるためです。このような時間を節約できるM&Aは、キャリアの後半で新しい挑戦をする自分に合っていると感じました。


一方、私にはM&Aのノウハウがなかったため、知識の不足は専門家を活用して補おうと考えました。そのときに個人の買い手に対する伴走支援を行っているM&Acompassを知りました。


人材派遣業やEC事業から検討を開始|海外取引の経験を活かせる案件を探した

M&A案件の検討

―最初はどのような案件を探していましたか?


中西さん

M&Acompassのコンサルタントからアドバイスを受け、はじめはさまざまな業種を広く検討する形で案件探しを開始しました。なかでも人材派遣業、輸入販売、EC事業などを中心に幅広く探しました。特にEC事業は、私の海外取引の経験も活かせると考えていました。


2023年11月からM&Aプラットフォームで案件を本格的に探し始め、2024年1月の段階で150件の匿名情報を検討しました。そのうち14件に実名交渉を依頼し、承諾してくれた9件から財務諸表をはじめとする詳細情報を入手しました。その後、実名交渉を行った会社が増え、最終的には11件の実名交渉を実施しています。


実名交渉に入って詳細情報を入手したタイミングで、M&Acompassの案件評価シートを積極的に活用しました。案件評価シートに対象会社の情報をまとめてM&Acompassに送付すると、対象会社との交渉において注意すべき点をわかりやすくコメントバックしてくれます。案件評価シートを活用することで、対象会社の全体像を効率的に理解でき、詳細情報の分析やその後の交渉の質が向上しました。

―実名交渉や売り手との面談を進めた印象はいかがでしたか?


中西さん

M&A案件を分析するなかで、財務諸表に表れない情報をいかに的確に把握するかが重要だと思い知りました。実名交渉を進め、売り手さんと面談をし、本格的に交渉した会社は4社でしたが、実際に会ってみて初めてわかることが非常に多かったです。例えば、人材派遣業を営む案件の場合は、オーナー社長のネットワークでビジネスが成り立っている側面がありました。そのためM&A後にオーナー社長が会社から抜けると、ビジネスを維持できなくなる恐れがあると感じました。


ほかにもオーナー社長の属人的なノウハウや販売チャネルでビジネスが成り立っている案件があったり、EC事業を営む会社同士のM&Aのみを検討している売り手さんがいたりしました。当然ながらこれらの情報は財務諸表に表れず、売り手さんと実際にお会いして初めて取得できるものです。


このような経験をした後は、ノウハウが属人化していない会社を中心に交渉を進めるようになりました。


―途中でM&Aを諦めかけたとのことでしたが、どのような理由からだったのでしょうか?


中西さん

150件以上の匿名情報を検討しても、自分の理想にぴったり当てはまる会社がなかったためM&Aを進めることに悩んだ時期がありました。しかしM&Acompassのコンサルタントにも相談し、「案件として検討できる会社にモジュールを追加して、自分の理想の会社に近づけていけば良い」と考えを改めました。特にEC事業の場合、すでに一定の販路があるため、そこで新しい商品を売っていくことは決して不可能ではないと思いました。


複数の買い手と競争する形で交渉|業界が近かったことから信頼関係を構築

売り手との交渉

―今回取得された会社とはどのように交渉を進めたのでしょうか?


中西さん

この度取得した会社は、2024年2月にM&Aプラットフォームを通じて初めて接触しました。対象会社は輸入商品のEC販売事業を主に展開していましたが、オーナー社長はコンサルティングの経験も豊富な方で、ビジネスのノウハウを体系化・コンテンツ化していました。この点はビジネスを引き継ぐ私にとって非常に嬉しいポイントでした。


オーナー社長は個人事業主から法人化して会社を経営されてきた方で、真面目で実直な人物でした。2024年2月の段階で、買い手として7社が手を上げている状態であり、2024年3月頃までに提出された条件をもとに交渉を進める相手を決めるというタイムラインが存在しました。そのため、タイムラインに合わせて自分で対象会社のバリュエーションを行い、金額を定めてオファーしました。このとき、M&Acompassが開催していた企業価値算定のセミナーの知識が役立ちました。


後からオーナー社長に聞いたところ、私の提案した金額は7社のうちの3番手くらいだったそうです。1番高い金額を定時した会社は、私の金額の4倍の額を提示していたとのことでした。このように金額的には不利な状況にありましたが、オーナー社長から「会社を引き継いでほしいと思ったのは中西さんです」と言われ、交渉の結果、私の提示額を少し値上げする形で再びオファーしました。そして、私への譲渡を決めていただきました。


―売り手さんが中西さんに会社を譲渡したいと考えた理由はどのようなものだったのでしょうか?


中西さん

私は過去にIT会社で企業向けのIT基盤構築などを行っていました。それらの業務で経験した業界と、対象会社がビジネスを営む業界に一定の重複があり、業界に固有の知識や専門用語を互いに理解していた点がプラスに働いたようです。オーナー社長は「中西さんには業界の言葉が通じる」と言ってくださいました。


―なるほど、ありがとうございます。その後の交渉やDD(デューデリジェンス)はいかがでしたか?


中西さん

その後の交渉に大きな問題は発生せず、M&Acompassの支援を受けながらDDも自分で行いました。このとき、M&Acompassの案件評価シートのサービスが大いに役立ちました。案件評価シートの内容をビジネスDD、財務DD、労務DDに細分化して深堀する形で、DDプロセスにおいて確認すべき事項を決めていったためです。今思い返しても、案件評価シートはM&Aの前半から後半まで、さまざまな場面で役立ちました。


このように自分でDDを実施し、M&Acompassのコンサルタントと一緒に最終契約書のドラフトを作成し、弁護士のレビューを入れて、2024年7月に契約を締結し、対象会社を取得できました。


取得案件概要|役員退職金スキームも活用して取得

取得案件概要

―今回取得された案件を振り返っていかがでしょうか?


中西さん

売り手のオーナー社長とは、最終的に直接面談1回、リモート面談3回を行いました。チャットツールを活用してリアルタイムにコミュニケーションを取っていたので、お互いに不安を長引かせずに交渉を進められた点が良かったと思います。


対象会社と接点を持ったのが2024年2月だったため、5カ月でM&Aを成約させることができました。前述の通り、対象会社は2024年3月までに提出された提案から交渉相手を選ぶと決めていたので、対象会社と接点を持つのが2カ月遅れていたら、今回の成約はありませんでした。途中、M&Aを諦めかけた時期もありましたが、対象会社とのこ゚縁が生まれるまで辛抱強く匿名情報を検討し続けてきて良かったと思います。


理想の会社を作るためにビジネス拡大に着手|原点に立ち戻りながら中長期の視点で経営していく


―この度は、改めて成約おめでとうございます。

中西さん

ありがとうございます。今回のM&Aの成約は、M&Acompassのコンサルタントが丁寧に伴走してくれた結果だと考えています。そのため心から感謝しています。


―ありがとうございます。取得された会社は、現在どのような状況でしょうか?


中西さん

M&Aを経たうえでの事業の維持と収益性の改善に努めています。現在は、中国から輸入した製品を中心に販売していますが、今後は日本国内のメーカーの製品も取り扱っていく計画があります。また、現在のスタッフは契約社員のみのため、今後は正規雇用につなげていきたいです。そのうえで自社のECサイトを作り、会社のファンを増やしていきたいと考えています。


―最後に、個人でM&Aを成約させたいと考えている買い手の方にメッセージをお願いします。


中西さん

M&Aにおける案件探しや交渉の過程では、想像していなかったことが起こります。また実際に会社を取得した後もやるべきことが山積みです。そのような場合は、「M&Aを成約させて何を実現したかったのか」に立ち戻ると、行動や考えの軸を維持したまま、中長期の視点で物事に取り組めると思います。


ビジネスパーソンにとってM&Aは大きなチャンスです。すべてが理想通りに進むわけではありませんが、行動を続け、理想を実現するために頑張ってほしいと思います。


―ありがとうございました!中西さんのビジネスの今後の発展を楽しみにしています!



「個人M&Aなら、M&Acompass」

M&Acompassは、個人M&Aの買い手に対する伴走支援です。これまでM&Aの専門家のサポートが十分に届いていなかった個人の買い手向けの伴走支援であり、個人M&Aの成約を目指すためのM&A戦略立案・案件探しといった初期的な工程からクロージングまでを支援するサービスです。


「M&Acompass」では、毎週さまざまなテーマでセミナーを開催しています。また、LINE公式アカウントでもM&Aに役立つ情報を配信しています。


さらに、伴走支援の一部を体験していただく趣旨で、オンライン無料体験会も開催しています。個人M&Aに関する疑問や課題に対して、現役のM&Aコンサルタントが提案・アドバイスさせていただきます。オンライン無料体験会もお気軽にご活用ください!


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